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ケンウッドハウス|ロバート・アダム空間を体感する

こんにちは。デコール東京・飯沼でございます。

年明け早々、ドイツ・イギリスをめぐる6泊8日の旅に出かけました。

インテリア文化研究所(代表:本田榮二氏)主催のプロ向け欧州視察ツアーですが、イギリス部分の企画を担当、トレンディなスポットと歴史的に価値のある場所を織り交ぜました。

その中から、「トータルデザインの巨匠空間を体感する」というテーマで、3回に分けてお届けしています。

トータルデザインの巨匠とは、建築+インテリアの両方を手がけたデザイナーたちのことで、今回のツアーで体感いただいたのは、ザハ・ハディド、ウィリアム・モリス、ロバート・アダムの3人です。

1)ザハ・ハディドはインテリアもすごい!ROCA社ショールーム
2)ウィリアム・モリスの世界にうっとり、スタンデンハウス
3)ロバートアダムの傑作に出会える、ケンウッドハウス

今回は、3)のロバート・アダム編です。

前回のウィリアム・モリスより古く、時代は18世紀に遡ります。

とはいえ、現代のイギリスのインテリアを理解する上で、とても大事な時期と言えるでしょう。

ロバート・アダムとは

ロバート・アダム(Robert Adam1728-1792)は、イギリスに新古典主義建築(ネオクラシック)を広めた、スコットランド出身の建築家であり、インテリアデザイナーです。

ネオクラシック様式の特徴は、直線的、左右対称、ギリシャ様式の柱など。

フランスで流行した華やかで軽やかなロココ様式(=曲線的)などを軽薄とし、厳粛で端正な(=直線的 )建築・インテリアに回帰した様式で、そのルーツは、ギリシャ・ローマ時代です。

ロバート・アダムは、1754年—1758年までイタリアを旅するグランドツアーに行っています。( 関連記事:現代のインテリアにも息づく英国グランドツアー

その時の経験を通して自らのスタイルを確立して行き、新古典主義建築とパステルカラーが美しい「アダム様式」を開花させます。

ケンウッドハウス ウェッジウッド ロンドン

ウェッジウッドみたい・・・、と思いませんか?

はい、ロバート・アダムはウェッジウッドに多大なる影響を与えた建築デザイナーです。

ウェッジウッド、ジャスパー

ロバート・アダムは当時人気の建築デザイナーとなり、貴族の住宅を多く手がけています。

今回のツアーでは、そのロバート・アダム建築の傑作の一つ、ケンウッドハウスを訪れました。

ロバート・アダムの傑作、ケンウッドハウス

ケンウッドハウスは、ロンドン北部、高級住宅地のハムステッドにあります。

広大な公園、ハムステッドヒースの中にあり、このようなところを少し登っていきます。

そして現れる白い建物

このお屋敷の歴史は17世紀に建てられたもの。

18世紀になって、初代マンスフィールド伯爵、ウィリアム・マレーが、ロバート・アダムに改築を依頼します。


(玄関ホール。ウィリアム・マレーの肖像画が右側にあります)

ロバート・アダムは、1764年—1779年、16年もの月日をかけて、新古典主義様式に外観を整え、アダム様式のインテリアに改装していきます。

数年前にメンテナンスをしているので、当時のものそのままではありませんが、当時の色にできる限り近づけているとのことです。

ライブラリーは、他に比べて天井も高く、客人をあっと言わせるとっておきのロバート・アダムワールド。

お屋敷は、マンスフィールド伯爵家によって代々受け継がれますが、20世紀になると、相続税を払えず、第6代目伯爵が売却。

家具・家財もオークションにかけられ、当時のものは残念ながらほとんど残っていませんが(ロバート・アダムは家具もデザインしました)、建物は、1925年にギネスビール社のギネス氏が購入。

ギネス氏は絵画コレクターで、絵のコレクションを展示する場所を探していたそうです。

その後わずか2年後にギネス氏は亡くなり、建物は絵画コレクションと共に国に遺贈され、

現在は、歴史的建造物を保護する「イングリッシュ・ヘリテージ(English Heritage)」が管理しています。

広大なお庭も気持ちがよく、遠くにロンドン中心部を一望できるスポットもあります。

フェルメール、レンブラントにブーシェ!貴族の館で名作を

このような経緯から、ケンウッドハウスは、ロバート・アダム建築を体感できる貴族の館でありながら、名画の数々を鑑賞できる美術館でもあります。

インテリア好き・アート好きの人であれば夢のような場所ですね。

ここで鑑賞できる絵画の一例です。

フェルメール 「ギターを弾く女」

こちらのお部屋にあります。

 

レンブラントの自画像

晩年に描いた自画像です。

 

ターナーやジョン・コンスタブルなどのイギリス画家

こちらは、ジョン・コンスタブル。

 

ブーシェ

ブーシェは前回来た時には見逃していたのですが、同じ小部屋に複数点ありました。

ロココの代表のような画家ですから、ここにあるのはちょっと・・・という感じもしますが、出会えてラッキーでした。

 

ポンぺオ・バトーニ

ポンぺオ・バトーニは、イタリアの肖像画家。

グランドツアー(関連記事:現代のインテリアにも息づく英国グランドツアー)に出かけたイギリス人達の間で人気の肖像画家となり、国際的に有名となったのだそうです。

こちらのお部屋にあります。

 

「トータルデザイン(建築+インテリア)の巨匠空間を体感する」3回シリーズは以上です。

トータルデザイン、そして、生活の利便性と芸術性の両立的な考え方は、後のアーツ・アンド・クラフツ運動に繋がり(関連記事:スタンデンハウス|ウィリアム・モリス空間を体感する)、現代にも息づいています。

歴史から学ぶことは多いですね。

飯沼朋子(建築士・インテリアデザイナー)
機能重視で美しく! ご新築、リノベーション、リフォーム、インテリアコーディネート等、住まいづくりにに役立つコンテンツを書いています。