インテリアデザイナー澤山乃莉子さんのライフスタイルとご著書「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」
こんにちは^^ デコール東京・飯沼でございます。
澤山乃莉子さんが、先月「キュレーションホテルが拓く未来」という本を出版されました。
澤山さんは私がとても尊敬しているインテリアデザイナーなのですが、ご著書をより楽しんでいただくために、その素敵なライフスタイルと共にご紹介したいと思います。
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澤山乃莉子さんのロンドンの家
澤山さんは、イギリス生活22年、そのうち16年間は、インテリアデザイナーとして仕事をしてきた方です。
ロンドンのお宅は、住宅用途として使われるようになったヴィクトリア時代の学校をリノベーションしたもの。
集合住宅ですが、住戸内に階段があり、一旦室内に入れば戸建てのような感じがします。
リビングダイニング部分は吹き抜けで、4.5Mほど。
インテリアは、西洋のセオリーの中に和の要素をたくさん散りばめた折衷スタイルです。
2016年、私は、インテリアのプロの皆さま向けのツアーを急遽企画し、このお宅をご覧いただくことにしました。
澤山さんが 「この家、売るつもり・・・」とおっしゃったからです。
リノベーションの工夫やこだわりぬいたインテリア、そして日本の伝統工芸品の力強さを体感いただいたわけですが、このツアーに参加くださった方は、とてもラッキーだったと思います。
というのも、こちらはその後すぐに売れてしまい、もう翌年には訪問することができなくなくなったからです。
そして澤山さんは日本に帰国することになったのです。
澤山乃莉子さんの熱海の家 「桃乃八庵」
日本では、築85年のもと旅館だった熱海の物件を買いとり、その意匠をできる限り残しながら、和洋折衷のインテリアが見事な「桃乃八庵(とうのやあん)」を創りあげました。
これが、今回出版となった、「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」の中身です。
キュレーションホテルが何かは後述することにして、実はこのホテル「桃乃八庵」は、温泉付き、ホテル機能を持った、澤山さんのご自宅でもあります。
こちらはリビング。
ロンドンの家では、西洋のベースの中に和が散りばめられていましたが、こちらでは、和のベースの中に西洋の要素を散りばめた折衷スタイル。
よく見れば家具は同じもので、お色直しをしています。
そして、将来美術館に行くような家具(日本になくてはいけない・・・とイギリスで買ったそうです。)なども置いてあります。
こちらは、なんとキッチン。
これらは、この「桃乃八庵」のごくごく一部です。
他のインテリア写真やディテール、古い材料をどう生かしたか等は、ご著書「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」を是非ご覧ください。
お母さんとしての澤山乃莉子さん
さて、ここでお母さんとしての澤山さんをご紹介いたしましょう。
まだロンドン在住だった頃、私は何度も澤山さんのお宅に伺いました。
その理由は、「おいしい日本食を食べるため」。
というわけではないのですが、お伺いする度、おいしい手料理をご馳走してくださいました。
大勢で行ったことも、私一人で行ったことも、そして夫と息子を連れて行ったこともありました。
尊敬する澤山さんが、エプロンをつけてトントントントン・・・素敵なキッチンでものすごい勢いで包丁を握ります。
まるで、お母さんみたい!
実際、お嬢様とご一緒したこともあり、お母様としての顔も見ています。
インテリアデザイナー激戦地のロンドンで、日本人デザイナーとして活躍した澤山さんですが、愛情あふれるお母様としての姿もまたとても印象的でした。
リーダーとしての澤山乃莉子さん
澤山さんがいたからロンドンに行くようになった人も少なくありません。
イギリスで有名なインテリアデザイナーが顔を揃える BIID (British Institute of Interior Design: 英国インテリアデザイン協会) には、イギリスで働いている、またはイギリスの学校で学んだ日本人が多く所属していますが、澤山さんの紹介なくしては、この存在を知らなかった人も多いのです。
(BIID元会長 Sue Timneyと最初にお会いしたのも澤山さんのロンドンのお宅でした。)
現在、BIIDの日本人は、メンバー、準メンバー合わせて30人ほど。
その日本メンバーの会の会長が澤山さんです。
世界各国にいるメンバーそれぞれが、BIIDのメンバーとして恥ずかしくない活動をするよう呼びかけられており、実際、多くの人がそれぞれのプロジェクトをこなしながら、講演、執筆などをして活躍しています。世界的なアワードに挑戦する人も増えてきました。
英国インテリアデザイン協会という名称のイメージとは違うかもしれませんが、日本人メンバーは日本のアートや伝統工芸品の普及にも力を入れています。
イギリスのインテリアデザイン界では、オリジナリティや手仕事、そして伝統を重要視しますから、それを考えれば、当然とも言えるでしょう。
世界的なアワードに入選している人たちは、日本のインテリアの魅力と可能性を世界に発信しているとも言えるのです。
コーヒーテーブルブック「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」
やっと本の紹介です。
そんな澤山さんが執筆した、はじめての著書が「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」です。
キュレーションとは、もともとは美術館・博物館などで企画を組む専門家のことですが、「目利きが選択して場を創り上げること」という解釈でいうと、キュレーションホテルとは、「目利きのインテリアデザイナーが、モノを選択して組み合わせ、新しい価値を生み出したホテル」と言ってよいでしょう。
澤山さんがその舞台に選んだのは、日本の伝統建築。
時間の経過で味わいを増す「風格」や「伝統」を大切にするロンドンで過ごしてきた澤山さんが、築85年の伝統建築に目を向けたことは、自然の流れのようにも感じます。
しかし、それは決して簡単なことではなく・・・ 壊して新しい建材で作った方がはるかに簡単でコストも安く、実際、理想の姿にするのは困難を極めたこともあったとか・・・。
そのような中、伝統建築をなんとしても活かす、という強い決意で臨んだこのプロジェクト。
古臭いところはまるでなく、非常にモダンな、もとい、未来的とも言える、日本人として誇らしい空間を創ったことは、非常に意義のあることであり、訪れる多くの人を感動させています。
「キュレーションホテル」には地産地消の考えも含まれ、その土地の伝統工芸品を紹介することにより、それぞれの土地にできるホテルがそれぞれの花を咲かせる、という壮大な計画も含まれています。
まさに、タイトルの通り、「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」。
そのショーケースとなった桃乃八庵の詳細は、ぜひご著書にてご覧ください。
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現在、第2弾、第3弾のキュレーションホテルが生まれつつあるようですよ。
その先にあるもの
先日、ある食事会でのこと。
ホテルのインテリアデザインの仕事をされている方が、「今度熱海にゴルフでいきます。」と言い、澤山さんは、「ではゴルフ仲間と一緒にウチに寄って〜」とおっしゃいます。
澤山さんの場合、これは決して社交辞令ではなく、次々と色々な方をお呼びしては、親睦を深め、ビジネスにも結びつけていきます。
ロンドンのお宅時代から多くの人をもてなしていたことは前述の通りです。
これは海外のエグゼクティブでは珍しくないことですが、日本ではなかなかやっている方は多くありません。
家は、その人となりを最も映し出すもの。
澤山さんはインテリアデザイナーですから住まいも素敵なわけですが、そのライフスタイルこそ参考にしたいものです。
高価な家具で部屋を埋めることではなく、住まい手の人生経験や精神性が宿る空間こそ魅力ある住まいと言えるでしょう。
まずは、語らう場所 「ソファコーナー」を充実させるところからはじめてみてはいかがでしょうか。
装飾を兼ねたコーヒーテーブルブックには、 是非「キュレーションホテルが拓く伝統の未来」を。