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京都でのリノベーション事例|結果を左右する「工事監理」の仕事とは

こんにちは^^ デコール東京・飯沼でございます。

今週、京都でのリノベーション工事が完了し、お引渡しがありました。

これまでも東京圏以外の仕事をやったことはあるのですが、設計デザインのみ、図面チェックのみ、インテリア用品のみ(工事なし)等、現地に何度も行くような仕事ではありませんでした。

現地に行く必要があるのは、設計デザインの仕事ではなく、「監理」の仕事の方です。

「監理」というと、その内容についてあまりご存知ない方も多いかもしれませんので、今回のリノベーションを例にご紹介したいと思います。

工事監理の仕事とは

建築士には、「設計」と「監理」の仕事があります。

「監理」とは、建築士法によれば「建築士の責任において工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないか確認すること」なのですが、リノベーションやリフォームの場合には、少し違います。

「壊してみたら、設計図通りにいかない」ということが多々あるからです。

リノベーション等の場合には、そのような場合に、どうするのが最善策かということを検討し、決定することがとりわけ大切な仕事の一つです。

もちろん、必要に応じてお客様に報告・相談をします。

以下、今回のリノベーションを例に、現地に行った日にちを時系列で記載しながら監理業務をご紹介いたします。

現場調査(1月21日)

現場調査は、設計デザインの面でも必要なのですが、監理の面でも必要です。

平面プランを作り、内容と材料を決めて見積り依頼をしますが、その後、ある程度工事内容が決まった段階で工事業者と一緒に現場に行き、プランした内容で問題ないか検討します。

見積りは、数社に依頼する場合もありますが、京都では弊社の工事内容に合う業者さんの見当がつかず、東京でお世話になっている工務店の社長に、信頼できる良い業者さんをご紹介いただきました。

工事契約(3月28日)

監理の仕事の中には、工事金額と内容、また工程を検討するという作業が含まれます。

工事の見積りは工事業者さんにより項目分けの仕方が違うこともあり、大変複雑ですので、お客様に変わり、内容をチェックします。

内容が適正で予算オーバーになってしまった場合には、材料を変えたり、工法を変えたり、費用対効果がいい方法を考えます。(これは、設計デザインの仕事にあたります。)

最終的に金額と内容が固まり、お客様にご納得いただいた段階で施工業者と工事請負契約を結んでいただくわけですが、この契約の場に立ち会います。

この時までにお客様とは東京で何度も打ち合わせをしていますが、現場に来るのはまだ2回目、細かなところを確認しつつ施工業者とも打ち合わせをします。

解体後のチェック(5月24日)

リノベーションの場合、解体してみないとわからないこともあります。

解体してみたら、空間があって、収納をつくることができた、天井高をあげることができた・・・という場合もあれば、

障害物があって、思っていた位置に電気配線ができない・・・という場合もあります。

今回は、床暖房を傷つけないよう床を壊さず、薄いフローリング材を上貼りすることにしたのですが、造作家具を壊してみたら、その下にフローリングが張っていないことがわかり、段差調整ののち上貼りをしました。

こういった細かなことは幾つか出てきますが、コストが大きく変わることがないよう(減る分にはいいのですが)、慎重に検討を重ねます。

また、各職人さんにも来ていただき、図面の内容を確認したり、その意図を説明したりして打ち合わせをします。

余談ですが、現場にはこんなゴミ箱が作られていました!

現場は整然としていて、今回の業者さんがとても丁寧なことを実感したスタートです。

木工事後のチェック(6月7日)

木工事というのは、大工さんがやる工事で、前半の非常に大事な部分です。

大工さん次第で後の仕上がりが違ってきますし、もし変更がある場合には、大工さんがいる間にお願いしなくてはいけません。

モールディングの納まりのチェックなども。

この段階までに塗装色の見本を作っておいてもらい、塗装色の確認もします。

中間検査(6月17日)

木工事の段階が終わると一安心。その後はどんどん工事が進んでいきます。

工事がこちらの意図した通りに進んでいるか、途中で一度見に行きます。

おかしいところがあれば、この段階で指摘すれば、間に合います。

あれ?! 洗面室の壁付けの電気の位置が違う。ミラーの位置も。 低すぎる・・・!!

となれば、直しを依頼します。

このようなことは、図面の更新がうまく伝わっていなかったり、現場での変更が伝わっていなかったりする場合に起こりがちです。

いわゆるコミュニケーションミス。

そのようなことがないよう細心の注意を払わなくてはいけませんが、多くの職人さんが入る現場ですから、起こってしまった場合には、やり直しを依頼します。

また、進行に伴って発生する検討事項なども幾つか出てくるので、打ち合わせをします。

設計検査(6月24日)、施主検査立会い(6月25日)

工事がほぼ終わると、通常は、設計者の検査の後、補修をして、施主(お客様)検査です。

施主検査でご指摘いただく箇所がないように、私どものほうでまずチェックするわけです。

が、今回は、京都に行く回数を最低限にするために、設計検査の翌日を施主検査にしました。まだ補修が済んでいない段階ではありましたが、お客様にも見ていただきました。

ミラーの位置やカーテンのふさかけ位置など、細かい点もお客様にご確認いただきます。

お引渡し立会い(7月1日)

補修をして、いよいよお引渡しの日となりました。

1ヶ月と10日間の工事でしたが、お引渡しに立ち会うところまでが「監理」の仕事です。

ビフォーは、このように都会的というか・・・ 暗い印象だったので、

使い勝手よく整えて、明るいイメージに変えていきました。

一部の家具がこれからの納品になりますが、9月頃、撮影をして改めてご紹介できたらと思います。
 

まとめ

以上、「監理」の仕事について今回の事例の流れに沿ってお伝えしました。

今回は、新築のリノベーションだったこともあり、ユニットバスとキッチン、床はそのまま活かし、お化粧直しにとどめています。

この3つをも壊すとなると、ほぼスケルトンリフォームになりますが、うまくいけば、上記と同様の回数くらいで済むかもしれません。合計7回(着工後は5回。)

遠方でのリノベーションも問題なくできることを実感しました。

ちなみに、お気づきと思いますが、弊社の仕事は、設計・監理・インテリアコーディネートで、工事は施工業者と契約して頂いています。

設計デザインとして業務報酬を頂くので、中には余分にそのコストがかかると思われる方がいるようですが・・・ どのような会社に依頼する場合でも、設計業務は必ず存在し、工事代金の中に含まれていたりします。

そして、監理業務の方は、お客様の立場に立ってお客様に安心をお届けする非常に大切な仕事です。

施工業者ではない第3者が行う方が望ましく、良い結果が期待できます。

飯沼朋子(建築士・インテリアデザイナー)
機能重視で美しく! ご新築、リノベーション、リフォーム、インテリアコーディネート等、住まいづくりにに役立つコンテンツを書いています。