
こんにちは。デコール東京・飯沼でございます。
夏休みを前に、ご旅行の計画をなさっている方も多いかと思います。
旅の思い出は、ご自分らしい素敵な住空間を創るためにも、是非活用したいもの。
時は、17世紀のイギリスに遡り・・・
旅の思い出をインテリアに取り入れるようになった歴史と、
旅の思い出をインテリアに取り入れる極意についてお伝えいたします。
イギリスのグランドツアーとは
「グランドツアー」とは、主にイギリスの貴族階級の人たちが教育の最後の仕上げとして経験した、海外旅行のことです。
いわば卒業旅行。
17世紀にはじまり、18世紀後半がピーク、
旅行期間は数か月から2、3年程度、
場合によっては、8年くらい(!)の場合もあったといいます。
最終目的地は、イタリア。
当時から、イタリアは「世界の美術館・博物館」であり、人々を魅了したのですね。
貴族の子弟というばかりというわけではなく、文学者、画家、音楽家、そして建築家など、
多くの知識層や芸術家がイタリアを目指しました。
このような人たちは、単独で行くほか、
貴族の子弟の先生役として同行した場合も多かったようです。
インテリアとグランドツアーの関係
日本ではそれほど知られていないかもしれませんが、
グランドツアーはこの時代のヨーロッパの文化を特徴づけるものとして、とても有名です。
当時のインテリアを理解する上でもはずせません。
旅行者たちは、アートや建築などへの理解を深めると同時に、
その知識をもって選んだたたくさんのアートがお土産となり、帰国後に自邸を飾りました。
まだ写真のない時代でしたので、滞在した場所を描いた風景画や版画が人気で、
そこに滞在した証拠として、イタリアの画家に肖像画を描いてもらうこともお決まりのコースでした。
他に戦利品として持ち帰ったものは、
古代彫刻や大理石などの断片、壺、燭台、カメオなどで、
コレクションーテーブルやキュリオケースに飾られました。
キュリオケースとは、家具の名称のひとつですが、
キュリオとは骨董品という意味で、
骨董品を陳列して見せる棚つきの家具のことを言います。
実際に洋書のインテリアの実例集をご覧になるとわかるのですが、
彫刻や細々とした古そうな置物がテーブル上に陳列してあるようなインテリアを時々見かけます。
これも、このグランドツアーから来ているのですね。
当時のものが残っている場合のみならず、
グランドツアーからヒントを得たコレクションだったり、
新たなトレンドとして、復活したりしています。
現代のインテリアにも影響を与える「グランドツアー」
パリで毎年2回開催されている、世界的なライフスタイルの展示会、
「メゾン・エ・オブジェ」等でもその傾向ははっきり見てとることができます。
男性的な部屋のしつらえも多く、旅行やそのお土産からイメージできる「男のガジェット」的なものが、たくさん飾られています。
大小のトランクが、収納を兼ねたインテリア用品としても流行っていますが、
それもグランドツアーからのインスピレーションかと思います。
そういえば、
ルイ・ヴィトンやゴヤールなどのトップブランドのスーツケースも「貴族・グランドツアー」のイメージにピッタリですね。
このように、「グランドツアー」を知っていると、ヨーロッパのトレンドや、
そこからやってくる日本のインテリアマーケットをより興味を持って見ることができます。
是非、意識されてみてくださいね。
ちなみに、イギリスの有名な建築家、ロバート・アダムもグランドツアーに5年ほど行き、
その知識をもってアダムスタイルを開花させました。
ネオクラシック様式を確立した建築家の一人ですが、洗練されたパステルカラーの色合いがとても美しく、今見ても感動します。
旅の思い出をインテリアに取り入れる極意
グランドツアーを知っていてもいなくても、旅の思い出をインテリア用品にするのは・・・
皆さん試みていることかもしれません。
その極意は、「インテリアを育てる楽しみ」と言っていいでしょう。
自分や家族の思い出、歴史がだんだんと住まいを味わい深いものにしてます。
「写真を飾る」こともそうですね。
モデルルームのように、流行りの雑貨をおしゃれに並べても、どこか味気ないインテリアに感じられるかもしれません。
最初は未完成でも・・・少しずつインテリアを育てていき、自分(達)だけのオンリーワンなインテリアを完成させることは人生の楽しみとも言えるでしょう。
まとめ
自分らしい素敵な住空間を創るには、旅の思い出を取り入れたい。
少しずつ自分らしくインテリアを整えていくことは、インテリアの楽しみであり、人生の楽しみでもある。
イギリスの貴族の間では、その昔、グランドツアーというものがあり、旅の思い出を自宅に飾っていた。
会話のネタにもなり、人を招く楽しみにもなる。
デコール東京では、「育てるインテリア」にふさわしい舞台づくりのお手伝いをしています。
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